がんは、我が国の死因第一位の疾患であり、生涯のうちに約2人に1人が、がんにかかると推計されているなど、依然として、国民の生命及び健康にとって重大な問題となっています。このような中、国が定める第4期がん対策推進基本計画(案)では、全体目標を「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す。」とし、全体目標の下に、「がん予防」、「がん医療」及び「がんとの共生」に関する分野別目標を定め、これらの3本柱を支える基盤整備の一つとして、「人材育成の強化」を推進することとしています。
次世代のがんプロフェッショナル養成プラン(以下「がんプロ」という。)は、第4期がん対策推進基本計画(案)の人材育成の強化として取り組むべき施策とされている、
東海大学大学院医学研究科は、これまで第1期および第2期のがんプロの採択を受け、計4つの教育コースを開設し、次世代のがん個別化医療実現のための人材育成を継続的に行っております。
第1期 | がんプロフェッショナル養成プラン:南関東圏における先端的がん専門家の育成 2007年度~2011年度 主幹校:北里大学 「がん専門医コース」(東海大学大学院医学研究科博士課程) |
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第2期 | がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン:高度がん医療開発を先導する専門家の養成 2012年度~2016年度 主幹校:慶應義塾大学 「がんTR研究者養成コース(東海大学大学院医学研究科博士課程)」 「医学物理士養成コース(東海大学大学院医学研究科修士課程)」 「がんCRC養成コース(東海大学大学院医学研究科修士課程)」 |
今回、新たに東京科学大学を主管校とする「次世代のがんプロフェッショナル養成プラン:次世代がん医療を担う多職種人材養成プラン」の採択を受けたことにより、新たに2つのコースを開設しました。今回は、従来の教育内容に加えて、「遺伝看護」ならびに「倫理支援」という側面から、がんゲノム医療支援ができる専門家育成を目指しています。特に、「がんゲノム遺伝看護の高度実践者育成コース」は看護職を対象とし、また「がん患者の倫理・社会的問題に対する支援者養成コース」では医師、歯科医師、看護師、薬剤師、社会福祉士、遺伝カウンセラーなどを対象としています。これらのコースでの教育を通して、がん医療に関わる遺伝看護ならびに倫理的・社会的問題に対応することができ、かつ多職種協同の中核を担うことのできる人材の養成を目指します。
本事業では①がん医療の現場で顕在化している課題に対応する人材の養成、②がん予防の推進を行う人材養成、③新たな治療法を開発できる人材養成のテーマを解決するため、「専門的な多職種人材」の養成をいたします。
本事業の特色は、首都圏の7大学においてチーム医療が実践できる多職種のがん専門医療人の養成プランを開発し、がんの予防、診断・治療、個別化医療、痛みのケア、サバイバーのケアなど全てのステージにおいて集学的治療が提供できる体制を、我が国に構築することを目指す点にあります。主要ながん種に加え、造血器腫瘍、小児がん、口腔がん、新規治療法開発なども対象とし、取り残される患者ゼロを目指します。
また、本事業では主幹校である東京科学大学を中心に連携7大学共同で歯学・薬学領域を含む独自の14のWorking group(WG)を設置し、各校の強みを集結した共通コースによる教育を行います。これにより広く受講者を募り、多くの専門的人材を輩出し、地域中核病院等への配置が可能となり、がん医療の均てん化と質の向上に貢献できると考えています。